し。村の若い者などが時々遊びに行く事があつても、不器量で、無愛想で、おまけに口が少し訥《ども》ると来て居るから、誰も物好に手を出すものもなく、二十五歳の今日まで、男といふものは猫より外に抱いた事も無かつた。けれど其性質は悪くはない相で、子供などには中々優しくする様子であるから、何うだ、重右衛門、姿色《みめ》よりも心と言ふ譬《たとへ》もある、あれを貰ふ気は無いかと勧めた。
 重右衛門も流石《さすが》に二の足を踏んだに相違ないが、余りに人から執念《しふね》く勧めらるゝので、それでは何うか好いやうにして下され、私等は、ハア、どうせ不具者《かたはもの》でごすでと言つて承知して、それより一月ならざるに、重右衛門の寂《さび》しい家宅《いへ》にはをり/\女の笑ふ声が聞える様になつた。
 村の人はこれで重右衛門の身が堅まつたと思つて喜んだのである。けれどそれは少くとも重右衛門のやうな性格と重右衛門のやうな先天的不備なところがある人間には間違つた皮相な観察であつた。一体重右衛門といふ男は負け嫌ひの、横着の、図々しいところがあつて、そして其上に烈《はげ》しい/\熱情を有《も》つて居る。で、この熱情が旨《う
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