これでこの話は終結《をはり》である。けれど猶《なほ》一言、諸君に聞いて貰はなければならぬ事がある。それは、その翌日、殆ど全村を焼き尽したその灰燼《くわいじん》の中に半《なかば》焼けた少女《をとめ》の死屍を発見した事で、少女は顔を手に当てたまゝ打伏《うつぶし》に為つて焼け死んで居た。かれは人に捕へられて、憎悪《ぞうを》の余《あまり》、その火の中に投ぜられたのであらうか、それとも又、独《ひと》り微笑《ほゝゑ》んで身をその中に投じたのであらうか。それは恐らく誰も知るまい。
 自分は其翌日万感を抱いてこの修羅《しゆら》の巷《ちまた》を去つた。
 それからもう七年になる。
 其村の人々には自分は今も猶交際して居るが、つい、此間も其村の冒険者の一人が脱走して自分の家を尋ねて来たから、あの後は村は平和かと聞くと、「いや、もうあんな事は有りはしねえだ。あんな事が度々《たび/\》有つた日には、村は立つて行かねえだ。御方便な事には、あれからはいつも豊年で、今でア、村ア、あの時分より富貴《かねもち》に為つただ」と言つた。そして重右衛門とその少女との墓が今は寺に建てられて、村の者がをり/\香花《かうげ》を手
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