夜
竹久夢二
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)幹子《みきこ》は
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)子供|達《たち》が
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから3字下げ]
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日が暮れて子供|達《たち》が寝床へゆく時間になったのに、幹子《みきこ》は寝るのがいやだと言って、お母様を困らせました。
「さあ、みっちゃんお寝《やす》みなさいな。雛鳥《ひなどり》ももうみんな寝んねしましたよ」
お母様は、幹子に寝間着を着せながら仰言《おっしゃ》いました。
「みっちゃんが夕御飯たべてる時に、親鳥が コ コ コ って言って雛鳥を寝かしていましたよ」
「だってあたし眠くないんですもの」
「山の小鳩《こばと》も、もう親鳩《おやばと》の羽根の下へ頭をかくして コロ コロ コロ お休みって眠りましたよ」
「だってあたし眠くないの」
「赤い小牛は小屋の中で、羊の子は青い草の中で寝《ねんね》しましたよ」
幹子は、柔かい気持の好《い》い寝床へ這入《はい》ったけれど、まだ眠ろうとはしませんでした。蒲団《ふとん》の中へもぐりこん
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