出しました。しかし、どう考えても、今田時雄《いまだときお》の玄関の一寸角のガラスの穴からのぞいた眼が、公園のベンチのうしろの木の蔭《かげ》からも、公衆食堂の椅子《いす》の下からも、宿屋の裏の空地にも、大川の橋の下にも、いつもぎらぎらと光って、留吉のすることを見ているように思えるのでした。これは留吉には、たまらないことでした。
留吉が、不幸な帽子をかぶって、都の停車場からまた田舎《いなか》の方へ帰ったのは、それからまもないことでした。
[#地付き](一九二三、七、二四)
底本:「童話集 春」小学館文庫、小学館
2004(平成16)年8月1日初版第1刷発行
底本の親本:「童話 春」研究社
1926(大正15)年
入力:田中敬三
校正:noriko saito
2005年9月11日作成
青空文庫作成ファイル:
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