大きな手
竹久夢二
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)綺麗《きれい》な
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ある郊外、少女Aと少女Bの対話
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
A まあ、あなたの手は綺麗《きれい》なお手ねえ。白くって、細くって、そしてまあこの柔かいこと。マリア様のお手のようだわ。
B そうでしょうか?
A あら、あなたはそうは思わなくって? これが美しくなかったら何を美しいって言えば好《い》いでしょう。
B そりゃあたしの手は、小さくても色が白いには白いけれど、あたしよかもっと美しい手があると思ってよ。
A と仰言《おっしゃ》ると、どんな手ですの?
B どんな手ってきかれても困るけれど、あのクラスのCさんの手なんかは、ほんとに美しい手だと思うわ。
A まあ! Bさん。あなたあんな手が何処《どこ》が美しいの? 指は棒のように太いし、色は石炭のように黒いし、あの方が体操でもしていらっしゃるところを見ていると、まるで煙筒《えんとつ》の掃除男が喧嘩《けんか》
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