り]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
少年「おじさん、早く走らないと、また兎が逃げますよ」
[#ここから3字下げ、折り返して1字下げ]
少年兎に近づきながら、「万歳、万歳。兎さんもう出ても好《い》いよ」
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
少女「ずいぶん心配したわ」
兎「やれやれ、ほんとに危《あぶな》い所を助かりました。どうもありがとうございます。」
少女「よかったわね」
少年「うまくいったね」
[#ここから3字下げ]
少年を上手に、兎をまん中に、三人手をつなぎ舞台の前へ進み。
[#ここで字下げ終わり]
兎の挨拶
御見物のお嬢様坊ちゃまがた、わたしはまあ何と言って皆様にお礼を申して好《い》いやら、あんまり嬉《うれ》しくて、申上げる言葉も知りません。
これはみんな、この賢いお坊ちゃまの勇気と、親切なお嬢さまのお蔭《かげ》です。けれどあの草むらの蔭にかくれている時、皆様はほんとうにうまくわたしをかばって下さいました。もしも皆様のうちの誰《だれ》かが「兎《うさぎ》はあそこにかくれているよ」とでも仰言《おっしゃ》ろうものなら、わたしはまあどうなっていたのでしょう。お蔭様でわたしはこれから懐しい親や兄たちの許《とこ》へ帰ってまいります。皆様もどうか御機嫌よろしく、ではさようなら。
[#ここから2字下げ]
かすみか くもか
はたゆきか…………舞台裏の賑《にぎ》やかな合唱だんだん細りゆきながら
[#ここで字下げ終わり]
[#地付き](幕)
底本:「童話集 春」小学館文庫、小学館
2004(平成16)年8月1日初版第1刷発行
底本の親本:「童話 春」研究社
1926(大正15)年12月
※「少年(猟人《かりうど》の注意を〜白いんでしょう」は、底本では二行目は3字下げ、三行目は1字下げになっています。
入力:noir
校正:noriko saito
2006年7月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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