街の子
竹久夢二
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)春太郎《はるたろう》は
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから3字下げ]
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それは、土曜日の晩でした。
春太郎《はるたろう》は風呂屋から飛んで帰りました。春太郎が、湯から上《あが》って着物をきていると、そこの壁の上にジャッキイ・クウガンが、ヴァイオリンを持って、街を歩いている絵をかいた、大きなポスターが、そこにかかっているのです。
[#ここから3字下げ]
十二月一日より
ジャッキイ・クウガン 街の子[#「街の子」は3段階大きな文字]
キネマ館にて
[#ここで字下げ終わり]
と書いてあるのです。それを見た春太郎は、大急ぎで帯をぐるぐる巻きにして、家《うち》へ飛んでかえりました。
春太郎は、ジャッキイ・クウガンが大好きで、ジャッキイの写真はたいてい見ていました。だからもう今では、ジャッキイの顔を見ると、長い間のお友達のような気がするのでした。
「お母様《かあさん》、いってもいいでしょうねえ」
春太
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