お山《やま》の お山《やま》の 兎太郎《うさたろ》さん
お前《まへ》の耳《みヽ》は なぜ長《なが》い。
枇杷《びは》の若葉《わかば》をたべたので
それゆへお耳《みヽ》が長《なご》ござる。
お山《やま》の お山《やま》の 兎太郎《うさたろ》さん
何《なに》がそんなに怖《こを》ござる。
びつくり草《ぐさ》ではないけれど
私《わたし》は風《かぜ》が怖《こを》ござる。
[#改ページ]
へう
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太郎「おまへは虎《とら》の従兄《いとこ》なのかへ」
へう「へ※[#二の字点、1−2−22]、まあそんなもんです。これでも昔《むかし》は兄弟《きようだい》だつたんですがね。加藤清正公《かとうきよまさこう》が朝鮮征伐《ちようせんせいばつ》にいらした時《とき》、私《わたくし》の先祖《せんぞ》が道案内《みちあんない》をしたので、そのお礼《れい》に清正公《きよまさこう》の紋所《もんどころ》をこうして身体《からだ》へつけて下《くだ》すつて代々《だい/\》まあこうして宝物《ほうもつ》にしてゐるやうなわけですよ」
太郎「なるほどそうかねえ、道理《どうり》で清正《きよ
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