に思《おも》つて撃《うた》ないでつれてかへつて可愛《かあい》がつて飼《かつ》てやりました。
するとその辺《へん》に住《す》んでゐた太郎《たらう》ぢやない、次郎《じらう》といふ子供《こども》が、その鸚鵡《あうむ》を盗《ぬす》んでポツケツトへ入《い》れました。
猟人《かりうど》[#ルビの「かりうど」は底本では「りうど」]は鸚鵡《あうむ》がゐないので「おまへはどこへいつた」と言《い》ひますと、鸚鵡《あうむ》は子供《こども》のポツケツトの中《なか》で「わたしはこ※[#二の字点、1−2−22]にゐる」と答《こた》へました。
[#改ページ]
しか
鹿《しか》が小川《をがは》の水《みづ》の中《なか》に立《た》つて、自分《じぶん》の姿《すがた》を水《みづ》に映《うつ》して
「おれの角《つの》はなんて美《うつく》しいんだらう。だが、この足《あし》の細《ほそ》いことはどうだろう、もすこし太《ふと》かつたらなア」と独語《ひとりごと》を言《いつ》た。そこへ猟人《かりうど》が来《き》た。おどろいて鹿《しか》は迯《に》げだした。細《ほそ》い足《あし》のおかげで走《はし》るわ、走《はし》るわ、よつぽど遠《とほ》くまで迯《に》げのびたが、藪《やぶ》のかげでその美《うつ》くしい角《つの》めが笹《さヽ》に引掛《ひつか》かつてとう/\猟人《かりうど》につかまつたとさ。
[#改ページ]
ライオン
太郎《たらう》は、エソップのなかの、或時《あるとき》ライオンが一疋《いつぴき》の鼠《ねづみ》を捕《と》つたら、鼠《ねづみ》が「おぢさんわたいのやうな小《ち》いさなものをいぢめたつてあなたの手柄《てがら》にもなりますまい」つて言《い》つたらライオンは「ハヽヽヽなるほどさうだ」つて許《ゆる》してやつた。するとある時《とき》、ライオンが猟人《かりうど》に捕《つかま》つて縛《しば》られたとこへ例《れい》の鼠《ねづみ》が来《き》て「おぢさん、待《ま》つといで」と言《い》つて縛《しば》つた縄《なわ》を噛切《かみき》つてやりました。つていふ噺《はなし》を思出《おもひだ》して「おぢさん、ライオンは馴《なれ》たら鼠《ねづみ》でも喰《く》ひませんか」と動物園《どうぶつゑん》のおぢさんに聞《き》きました。すると、おぢさんの答《こたへ》はこうでした「すぐ喰《く》つちまふ」
[#改ページ]
だてう
[#ここから改行天付き、折り
前へ
次へ
全8ページ中5ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
竹久 夢二 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング