暮《く》れると、鶏《にはとり》の眼《め》を見《み》えぬやうにしてしまひました。それで「とりめ」になりました。
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ほつきよく ぐま

ほつきよくぐまの おかしさは
いつきて見《み》ても  いや/\と
かぶりを振《ふ》つておりまする。
パンをやつても  いイや いや
肉《にく》をやつても   いイや いや
かぶりふり/\食《た》べました。
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たか

お婆《ばあ》さんの独言《ひとりごと》「おまへも世《よ》が世《よ》ならば、将軍様《せうぐんさま》の御手《おて》にとまつて、昔《むかし》は、富士《ふじ》の巻狩《まきがり》なぞしたものだが、今《いま》ぢや梟《ふくろう》と一所《いつしよ》にこんなところへか※[#濁点付きの二の字点、コマ17−右−3]んでるのは辛《つら》いだろうの。したが、これも時代《ときよ》とあきらめるが好《い》いぞ[#「ぞ」は底本では「濁点付き平仮名う」、コマ17−右−5]よ。これさ、うの目《め》たかの目《め》つて世間《せけん》の口《くち》の端《は》にか※[#二の字点、1−2−22]るではないか、そんな怖《こは》い目《め》はせぬものぢや」
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らくだ

太郎「らくだよ らくだ
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なんておまへはなまけものなんだろう[#「なんだろう」は底本では「なんだろら」]。
のらくら のらくらと一日《いちにち》なまけてゐるではないか」
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らくだ「坊《ぼつ》ちやん。私《わたし》が好《い》い見《み》せしめです。
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あんまりなまけたので昔《むかし》私《わたくし》の先祖《せんぞ》は神様《かみさま》に撲《なぐ》られまして、ごらんの通《とほ》り身体中《からだぢう》瘤《こぶ》だらけになりました」
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あうむ

ある猟人《かりうど》が、山《やま》[#ルビの「やま」は底本では「ま」]へ猟《かり》にゆきますと、何処《どこ》からか鸚鵡《あうむ》の啼声《なきごゑ》が聞《きこ》えます。声《こゑ》はすれども姿《すがた》は見《み》えぬ、猟人《かりうど》は途方《とはう》にくれて「おまへはどこにゐる」と言《い》ひますと「わたしはこ※[#二の字点、1−2−22]にゐる」と答《こた》へた。猟人《かりうど》は、その無邪気《むじやき》な鸚鵡《あうむ》を可憐《かあい》そう
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