き》の葉《は》の
毛虫《けむし》がすきでたべました。

やんがて※[#「※」は3行上の「かき」と同じ字、第3水準1−85−57、40−4]《かき》のうれるころ
日本《にほん》の島《しま》をあとにして
まだみもしらぬ故郷《ふるさと》へ
親子《おやこ》もろともいにました。
[#改ページ]

 納戸の記憶

船《ふね》は酒船《さかぶね》父《ちち》の船《ふね》
三十五|反《たん》の帆《ほ》をまくや
玄海灘《げんかいなだ》の夏《なつ》の雲《くも》。

君《きみ》は馬関《ばくわん》の唄《うた》うたひ
髪《かみ》にさしたる青玉《エメラルド》
あだな南《みなみ》のニグレスが
こころづくしの貢物《みつぎもの》。

風《かぜ》のたよりをまちわびて
行燈《あんど》のかげのものおもひ
鬢《びん》のほつれをかきあぐる
銀《ぎん》のかざしのかなしさか
母《はゝ》の腕《かひな》のさみしさか。
[#改丁、挿し絵入る、43]
[#改丁]

 おしのび

昔《むかし》アゼンに王《わう》ありき。
野《の》にさく花《はな》のめでたさに
ひとり田舎《ゐなか》へゆきけるが
にわかに雨《あめ》のふりいでて
王《わう》は臍《へそ》ま
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