んて。
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『では、ちよつと失禮、〔ma《マ》 che`re《シェール》〕!(愛する友よ!)、あたし、ちよつとそこいらまで一走り行つて來るから中座してよ……。でも、あとは明日すつかり書くわ。――今日は! さあ、またお手紙に取りかかりませうね。あの、今日うちのソフィーお孃さまつたらねえ……。』
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そうら! おいでなすつたぞ。ええと、お孃さんがどうしたんだつて? ちえ、畜生め!……おつと、大丈夫、大丈夫……さあ、あとを讀まう。
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『……ソフィーお孃さまつたらね、今日はとても大騷ぎだつたのよ。舞踏會へいらつしやるつていふのでさ、でも、そのお留守にお手紙が書けると思つて、あたし嬉しくなつてしまつたわ。うちのソフィーさまつたら、いつでも舞踏會とさへいへば、とても大はしやぎなの、尤もお召しかへの折にはきまつてぷりぷり八つ當りをなさるけどさ。あたしには人間つてどうしてあんな着物なんてものを着るのか、さつぱり譯がわからないの。何だつて、あたしたちみたいに、裸かで出歩かないのでせうね? その方が便利で、氣持も樂でせうにさ。ねえ 〔ma《
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