かい夏の夜、人も獣も鳥も、万象ことごとく眠りに落ちて、ひとり神のみ厳かに天と地とを見守り、その袍の袖を荘重にはためかす時、ドニェープルは奇しくも美はしい。その袍の袖から星が撒き散らされる。星々は地球の上で光りながら、すべてがパッとドニェープルに反映する。ドニェープルはそれを残らず己が暗黒の胸に抱懐する。そして天上にて消えぬかぎり、星影は一つとしてその抱擁から逃れることは出来ぬ。玉を連ねたやうに夥しく鴉の塒する黒い森や、遠い昔から崩れたままの山々が覆ひかぶさつて、せめて、その長い影でドニェープルを翳さうとするが、それも空しい努力だ! この世にドニェープルを覆ひ匿すことの出来るものはない。紺碧の色をたたへ、洋々と氾濫して、夜半も真昼も変りなく流れてやまず、目路のつづく限り、どこまでも河である。この河が嬌《あま》えて、夜寒にヒシと岸辺に寄り添ふ時、銀いろの波がたつて、恰かもダマスクス刀の焼刄のやうにきらめいて、青々としたドニェープルは再び眠りに落ちる。さうした時のドニェープルは世にもいみじく、この河に較ぶべき河はまたとない! 更にまた、山のやうな青い雨雲が空を走り、黒い森が樹々の根本までどよ
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