人は物珍らしさうにザポロージェ人達を眺めながら言つた。「どうぢや、こちらでは御身たちを良くもてなしてをるかの?」彼女はさうつづけながら、更に間近く進みよつた。
「はつ、有難き仕合せにござりまする、陛下! 食糧は申し分のない品を支給されて居りまする、尤も当地の羊肉はわれわれザポロージェの品とは、まるで別物ではござりまするが――如何やうにもせよ、暮しの出来ぬことはござりませぬ……。」
ポチョームキンはザポロージェ人どもが、自分の教へておいたのとはまるで違つたことを喋るのを見て、渋面をつくつた。
一人のザポロージェ人は勿体ぶつて前へ進み出ると、かう言つた。「陛下、恐れ多いことにござりまするが、われら忠誠なる陛下の臣が、何を以つて陛下の逆鱗に触れ奉りましたのでござりませうか? われらが、あの穢れたる韃靼の輩らに味方したとでも仰せられるのでござりまするか? それともわれらが、何ぞや土耳古人に与《くみ》したとでも仰せられまするか? 行為にせよ、思想にせよ、陛下に叛逆し奉つたことでもあると仰せられまするか? 何のために御信任を失ひましたのでござりまするか? さきには処々方々に砦を築いてわれらザポ
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