つ出来ねえ人だもの!」
「これあ教父《おとつ》つあんでねえだか!」と、じろじろと相手を見詰めながら教父が喚いた。
「してお前、このおれを誰だと思つたのだい?」とチューブがにやにやしながら言つた。「どうだいお前方、うまくおらにかつがれたでねえか。だが、あぶなくお前たちに豚と間違へて食はれてしまふところだつたよ。待ちな、お前たちを喜ばせることがあるだよ。この袋ん中にやあ、まだ何か入えつてるだよ。野豚でなきやあ、屹度、仔豚か何か、ほかの家畜《もの》に違えねえ。おらの尻の下でしよつちゆう、何かもぞもぞしてゐよつただから。」
 それつとばかりに、織匠《はたや》と教父《クーム》が袋へ飛びついて行くと、この家の女主人《かみさん》も反対がはから掴みかかつたので、もはや逃れ難きを覚つた補祭が、その時、袋の中から這ひ出さなかつたものなら、再び猛烈な争奪戦が盛り返されるところだつた。
 おつ魂消た教父《クーム》の妻は、あはや袋の中から引つぱり出さうとして掴んでゐた補祭の足を手ばなした。
「おや、まだひとり入えつてゐたんだな!」と、織匠《はたや》が仰天して叫んだ。「いつたい何が何だかさつぱり分らねえ……。頭が
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