、どうしても、さっぱりわからない。第一こんなことを幾ら書いても、国家の利益《ため》には少しもならず、第二に……いや、第二にも矢張り利益《ため》にはならない。まったく何が何だか、さっぱりわたしにはわからない……。
だが、まあ、それはそうとして、それもこれも、いや場合によってはそれ以上のことも、もちろん、許すことができるとして……実際、不合理というものはどこにもあり勝ちなことだから――だがそれにしても、よくよく考えて見ると、この事件全体には、実際、何かしらあるにはある。誰が何と言おうとも、こうした出来事は世の中にあり得るのだ――稀にではあるが、あることはあり得るのである。
[#地から3字上げ]一八三三―一八三五年作
訳注
プード――重量単位、一六・三八キロに当る。
カザンスキ大伽藍――アレクサンドル一世が当時の著名な建築家ウォロニヒンをして造営せしめた大伽藍(一八一一年竣工)で、優美な円頂閣やコリント式の豪華な柱廊に結構をきわめている。
スパニエル――愛玩用の小形の尨犬。
北方の蜂――一八〇七年ペテルブルグで発刊された月刊雑誌。同じくペテルブルグで一八二五年から四十年間
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