たまま、じつとそれを見まもつた。と、その火は消えて、今度は少し離れたところで、また別の火がともつた。※[#始め二重括弧、1−2−54]埋宝だぞ!※[#終わり二重括弧、1−2−55]と祖父は叫んだ。※[#始め二重括弧、1−2−54]これあ、てつきり宝物がうづまつてをるに違ひない!※[#終わり二重括弧、1−2−55]で、早速、彼は発掘にかからうとして、もう手に唾を吐いたが、その時はじめて、自分が鋤もシャベルも持ち合はせてゐないことに、やつと気がついた。※[#始め二重括弧、1−2−54]ええつ、残念ぢや! うむ、だが、わかつたものぢやないて、ひよつとすると、ほんの芝土を取り除けるだけで、そこに奴さん鎮坐ましますつてなことかも! まあ仕方がない。とにかく後で忘れないやうに、目標《めじるし》だけでもつけて置かう!※[#終わり二重括弧、1−2−55]
そこで、つむじ風に吹き折られたらしい手頃の枝をもぎ取つて、それを火のともつた塚の上へ載せておいて、小径について歩き出した。樫の若木の林はやがてまばらになつて、ちらほら籬が見え出した。※[#始め二重括弧、1−2−54]そうら、どうぢや? 俺が言はんこ
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