しも鼻へ持つてゆかうとした時だつた、突然、彼の頭上に当つて、※[#始め二重括弧、1−2−54]くしよつ!※[#終わり二重括弧、1−2−55]と、あたりの樹木が揺れ動いたくらゐ、ひどい嚔みをした奴がある。そして祖父の顔いつぱいに、鼻汁がひつかけられた。※[#始め二重括弧、1−2−54]くしやめが出かかつたら、せめて、わきでも向きやがれ!※[#終わり二重括弧、1−2−55]さう言つて祖父は眼を拭つた。あたりを見まはしたが、誰もゐない! ※[#始め二重括弧、1−2−54]いや、悪魔の奴あ煙草が嫌ひぢやと見える!※[#終わり二重括弧、1−2−55]と、彼は嗅煙草入を懐ろへしまつて、鋤を手に執りながら言葉をつづけた。※[#始め二重括弧、1−2−54]馬鹿な奴ぢやて、こんな良い煙草は、彼奴の親爺も祖父《ぢぢい》も嗅いだことはなかつたらうに!※[#終わり二重括弧、1−2−55]そこで、また、彼は掘りにかかつた――土はやはらかで、鋤が楽にとほると、何かカチッと音がした。土をのけて見ると、そこに壺が一つあるのだ。
「ああ、奴さんここにござつたのかい!」と、祖父は壺のしたへ鋤を突つこみながら叫んだ。
「あ
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