に坐つてゐた。
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トゥロフィーモフ[#「トゥロフィーモフ」はママ] 当時の火酒醸造所の名前。
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 イワン・イワーノ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ッチはウォツカの傍へ近寄ると、先づ手を拭いて、さかづきを仔細に検査してから酒を注いで、ちよつと明りにすかして見て、一度にそのさかづきのウォツカを口の中へ流し込んだが、直ぐにはそれをのみくださないで、口中をよく洗ふやうにしてから、ゴクリと飲みくだして、平茸の塩漬を添へた麺麭で口直しをしてから、イワン・フョードロ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ッチの方へ向き直つた。
「いや、失礼ですが、あなた様はイワン・フョードロ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ッチではいらつしやいませんか、あのシュポーニカさんでは?」
「仰せの通りです。」と、イワン・フョードロ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ッチが答へた。
「いやどうも、私が存じあげてゐた頃のあなたとは実にえらいお変り方で、いや実にどうも!」さう言つて、イワン・イワーノ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ッチはなほも言葉
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