きつと寝惚けていらつしやるんですね。」と、グリゴーリイ・グリゴーリエ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ッチが言つた。「お客さんに対つてウォツカを召上つたかなどとおたづねする人があるもんですか? あなたはおとりもちをして下さりさへすればいいんです。ウォツカを飲む飲まないはこつちのことです。イワン・フョードロ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ッチ! どうぞ、ウォツカは矢車菊を浸けたのにしませうか、それとも、*トゥロヒーモフのにしませうか? どちらをお好みですか? おや、イワン・イワーノ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ッチ、君はまた何だつて、そんな処に突つ立つてゐるんだね?」と、グリゴーリイ・グリゴーリエ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ッチは後ろを振り返りながら声を掛けた。イワン・フョードロ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ッチがそちらを見ると、イワン・イワーノ※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ッチはウォツカの方へ近づかうとしてゐるところだつた。その人は裾の長いフロックを著て、巨大な立衿の中へ頤をすつかり埋めてゐたので、その首はまるで馬車にでも乗つたやうに、衿の中
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