だ。なるほど、さういへば、かう早く家へ帰りついたのが最初《はな》から少し変だと思つたわい。それはさうと、レヴチェンコは今ごろ、補祭の家へ行つとる時分ぢやて、それはちやんとおれが知つてをる。それに、なんだつて鍛冶屋めが?……てへつ、へつ、へつ! 彼奴あ若い新嫁のところへ、こつそり忍んで来てやがるのぢやな。なあるほど! ようし!……もうおれには、すつかり何もかも読めたぞ。※[#終わり二重括弧、1−2−55]
「いつたい何奴《どいつ》だ、それに何だつて戸口になんぞうろついてやがるんだ?」と、鍛冶屋は前より一段と荒々しく呶鳴りながら、少し間近く詰めよつた。
※[#始め二重括弧、1−2−54]いや、おれが誰だか名乗らぬことにしよう。※[#終わり二重括弧、1−2−55]と、チューブは考へた。※[#始め二重括弧、1−2−54]この忌々しい出来そこなひ野郎に擲られるくらゐがおちぢやから!※[#終わり二重括弧、1−2−55]そこで彼は作り声をして、「わしだよ、お前さん! お慰みに一つ、こちらの窓下で流しをやらせて貰はうと思つたんでさ。」と答へた。
「その流しと一緒にとつとと悪魔のとこへでも出て失せやがれ
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