!」と、腹立たしげにワクーラが喚いた。「何を手前はいつまでも突つ立つてやがるんだ? 聞えたらうが! とっとと出て失せろつちふに!」
チューブの方でもとうに立ち去るのが賢明だとは考へてゐたが、どうも、この鍛冶屋の指図に否応なしに従ふといふことが業腹でならなかつた。彼はまるで悪魔に小突かれでもしたやうに、何かひとこと逆らつて見ないでは済まされなかつた。
「何だつてお前さん、さうがみがみ言ひなさるだね?」と、彼は前と同じ作り声で言つた。「おらはハア、一つ流させて貰ふべえと思つただけのこんでねえか!」
「ふん! それぢやあ、口で言つただけぢやあ、分らねえつてんだな!」
さういふ言葉に次いで、チューブは肩先きに手酷い打撃を感じた。
「それぢやあ何だね、腕づくでかかつて来なさるだね!」彼は少し後へさがつて、さう言つた。
「出て失せやがれ、とつとと出て失せやがれといふのに!」かう喚きながら、鍛冶屋は又もやチューブをどやしつけた。
「何をしなさるだ!」と、チューブは痛みと怨みと怖気を含んだ声で叫んだ。「お前さん、本気でぶつたね、さつきよりひどくぶつたね!」
「出て失せろ、出て失せろ!」さう呶鳴りな
前へ
次へ
全120ページ中38ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ゴーゴリ ニコライ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング