5[#「45」は縦中横] はるかの船首に両手を上げて突っ立っている花嫁の姿。
46[#「46」は縦中横] 青年は喜びの叫びを上げる。そして走り寄る。
47[#「47」は縦中横] しかし、花嫁は身動きもしなかった。
48[#「48」は縦中横] それもそのはずである。小いさな可愛い花嫁は、天へ向って両手を差しのべたまま、氷となって、固く固く凍りついて死んでいた。
49[#「49」は縦中横] そして、悲嘆にくれた青年が、その胸にいくら熱い泪《なみだ》をそそぎかけながらかき抱いても、氷の花嫁は再び生き返りはしなかった……。(溶暗)
[#ここで字下げ終わり]



底本:「新青年傑作選 爬虫館事件」角川ホラー文庫、角川書店
   1998(平成10)年8月10日初版発行
初出:「新青年」
   1927(昭和2)年4月号
入力:網迫、土屋隆
校正:山本弘子
2008年1月25日作成
青空文庫作成ファイル:
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