その後いろいろなお互の事情で会いそびれてしまってからも、この不幸な芸術の正系を守るためにマキアベリイ理想映画撮影所を建設し度いと心を砕いていました。ところが、喜んで下さい、今度到頭父が亡くなって、その遺産三千万円と云うものが全部僕のものとなったのですよ。僕は自分の財産の銀行利息だけでマキアベリイ撮影所を経営して行くことが出来るのです。つまり、一年に百万乃至百五十万円の費用をかけて、丸損したところで、僕の家産の傾く憂は更にないわけです。今や、我がマキアベリイ映画にあらゆる興業政策を無視しても差し閊えないのです。ああ、何と永い間の夢でしたろう……。
『製作映画の種類ですか?――ところで、君は近頃やはり昔のような映画ファンですか? ほう、十年から御覧にならないのですか? いやいや、それも決して無理とは申されますまい。未だ十年前の方がましでした。この頃の愚劣さ加減と来てはお話の外です。それに、一昔前のような音のない活動写真は極めて稀で、殆ど全部トーキーと云う馬鹿げた仕掛けのフィルムです。活動写真が物を云うなんて、それこそ子供が夢を見ながら寝小便をしてしまった程に、不愉快なものです。ところが、こ
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