にその決心を打ち明けた。するとヘンリイは額を曇らして云った。
『君の妻だって※[#疑問符感嘆符、1−8−77] ドリアン! では君は僕の手紙を未だ見なかったのだね?』
『手紙? そうそう、ごめんなさい。未だ見ずにいました。』
『シビルは死んだ。』とヘンリイ卿は云った。
『昨夜十二時半頃あやまって毒を、青酸か何かを飲んだらしいと今朝の新聞に出ていた。』
10[#「10」は縦中横]
ベエシル・ハルワアドもまたシビルの死を知ったのでドリアンを訪れた。そして、ドリアンの口から彼女の死が自殺であることを聞かされて、彼のあまりにも冷酷な振舞いをいたく心外に思った。『だが、ドリアン。』と彼は悲しげな微笑を浮かべて云った。『もうこれっきり、この恐ろしい事件について語るのを止そう。僕はただ君の名が、それに拘り合いにならなければいいと思うのだが。『大丈夫。』とドリアンは答えた。『ただ洗礼名だけだが、それだってシビルは誰にも話さなかったに違いない。彼女は僕の事を何時もプリンス・チャーミングと呼んだ。却々可愛いではないの。……そこでベエシル、彼女の僅かばかりの接吻と口説との思い出に、一つ彼女の姿を画い
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