絵姿
The Portrate of Dorian Gray
渡辺温

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)倫敦《ロンドン》の

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二十|碼《ヤード》程の

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)君の妻だって※[#疑問符感嘆符、1−8−77]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)恐る/\
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 1

 倫敦《ロンドン》の社交界に隠れもない伊達者ヘンリイ・ウォットン卿はたまたま、数年前にかの興奮から突然姿をくらまして色々と噂の高かった画家ベエシル・ハルワアドを訪れた。そしてその東邦の数奇を凝らした画室の中央に立てかけられて、完成しかけている一青年の肖像画の、比ぶべきものもなく思われて美しい面影に驚嘆した。
『象牙と薔薇の葉とでつくられたアドニス……』とヘンリイ卿は云った。『美は真実の美しさは、知識の萠しと共に亡びるものだ。知的であることはそれ自身ひどく大袈裟で、そして如何なる
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