、大変便利であります。何が幸になるものか解りませんね。後架が外にあることがこれ等の結果を産み出すとは。
 灯と申せば、私が京都の一燈園に居りました時分、灯火に対して抱いた深刻な感じを忘れる事が出来ません。此の機会に於て少し又脱線さしていたゞきませう。一寸その前に一燈園なるものの様子を申上げませう。園は、京都の洛東鹿ヶ谷にあります。紅葉の名所で有名な永観堂から七、八丁も離れて居りませうか、山の中腹にポツン[#「ポツン」に傍点]と一軒立つて居ります。それは実に見すぼらしい家で、井師は已に御承知であります。いつぞや北朗さんとお二人で園にお尋ねにあづかつた事がありますから……それでも園のなかには入りますと、道場もあれば、二階の座敷もある、と云つたやうなわけ。庭に一本の大きな柿の木があります。用水は山水、之が竹の樋を伝つて来るのですから、よく毀れては閉口したものでした。在園者はいつでも平均男女合して三十人から四十人は居りませうか、勿論その内容は毎日、去る者あり、来る者ありといふのでして、在園者は実によく変ります。私は一昨年の秋、而もこの十一月の二十三日|新嘗祭《にひなめさい》の日を卜して園にとび
前へ 次へ
全47ページ中38ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
尾崎 放哉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング