りますと、益※[#二の字点、1−2−22]しつとり[#「しつとり」に傍点]した気分になつて参ります。
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    灯

 庵のなかにともつて居る夜の明りと申せば、仏さまのお光りと電燈一つだけであります……之もつい先日迄はランプであつたのですが、お地蔵さまの日から電燈をつけていたゞくことになりました。一に西光寺さんの御親切の賜《たまもの》であります。入庵以来幾月もたゝないのですが、どの位西光寺さんの御親切、母の如き御慈悲に浴しました事か解りません。具体的には少々楽屋落ちになりますから、これは避けさせていたゞきます……それだけの明りがある丈であります。扨、庵の外の灯ですが、之が又数へる程しか見えないのであります。北の方五六町距つた処の小さい丘の上にカナ[#「カナ」に傍点]仏さまがあります……矢張りお大師さまで……其上に一つの小さい電燈がともつて居ります。それから西の方は遙か十町ばかり離れて町家の灯が低く一つ見えます。東側には海を越えた島の山の中腹に、ポツチリ[#「ポツチリ」に傍点]一つ見えます。多分お寺かお堂らしいですが、以上申した三つの灯を、而もどれも遙かの先に見得る丈であ
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