「旧ぶし」に傍点]と新ぶし[#「新ぶし」に傍点]とがあるのであります。「旧ぶし」と云ふのは、ウン[#「ウン」に傍点]と年とつたお婆さん連中が申す調子であります。「新ぶし」は中年増と云つたやうな処から、十六や十七位な別嬪さんが交つて申すふし[#「ふし」に傍点]であります。そのふし[#「ふし」に傍点]廻しを聞いて居りますと、旧ぶし[#「旧ぶし」に傍点]は平々凡々、水の流るゝが如く、新ぶし[#「新ぶし」に傍点]の方は、丁度唱歌でもきいて居るやうで、抑揚あり、頓挫あり、中々に面白いものであります。ですから、其の持つて居る道具にしても、旧ぶし[#「旧ぶし」に傍点]の方は伏鉦を叩くきりですが、新ぶし[#「新ぶし」に傍点]の方は、鉦は勿論ありますし、それに長さ三尺位な鈴《リン》を持ちます。その鈴の棒の処々には、洋銀か、ニツケル[#「ニツケル」に傍点]かのカネ[#「カネ」に傍点]の輪の飾りが填めこんでありまして、ピカ/\光つて居る、棒の上からは赤い房がさがつて居る。中々美しいものでありますが、それを右の手に持つてリンリン[#「リンリン」に傍点]振りながら、左手では鉦をたゝく、中々面白くもあり、五人も十
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