ら、
ひびきをうちだすただれた老女のばら、
舌と舌とをつなぎあはせる絹のばらの花。
あたらしいふらふらするされかうべのうへに
むらむらとおそひかかるねずみいろの病気のばら、
香料の吐息をもらすばらの肉体よ、
芳香の淵にざわざわとおよぐばらの肉体よ、
いそげよ、いそげよ、
沈黙にいきづまる歓楽の祈祷にいそげよ。


  木製の人魚

こゑはとほくをまねき、
しづかにべにの鳩をうなづかせ、
よれよれてのぼる火繩《ひなは》の秋をうつろにする。

こゑはさびしくぬけて、
うつろを見はり、
ながれる身のうへににほひをうつす。

くちびるはあをくもえて、
うみのまくらにねむり、
むらがりしづむ藻草《もぐさ》のかげに眼をよせる。


  洋装した十六の娘

そのやはらかなまるい肩は、
まだあをい水蜜桃のやうに媚《こび》の芽をふかないけれど、
すこしあせばんだうぶ毛がしろい肌にぴちやつ[#「ぴちやつ」に傍点]とくつついてゐるやうすは、
なんだか、かんで食べたいやうな不思議なあまい食欲をそそる。


  十四のをとめ

そのすがたからは空色のみづがながれ、
きよらかな、ものを吸ふやうな眼、
けだかい鼻、
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