汲ー、即興詩人の名を成して、偕老《かいらう》の契《ちぎり》を全《まつた》うせしならんか。嗚呼、絶ゆる期《ご》なき恨なるかな。
友なるポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]おとづれ來ていふやう。何といふ顏色ぞ。恐しき巽風《シロツコ》もぞ吹く。若しその熱き風胸より吹かば、中なる鳥の埃及《エヂプト》人の火紅鳥《フヨニツクス》ならぬが、焦がれ死《じに》するなるべし。野にゆきては茨《いばら》のうちなる赤き實《み》を啄《ついば》み、窓に上りては盆栽の薔薇花《さうびくわ》に止《と》まりてこそ、鳥は健《すこや》かにてあるものなれ。わが胸の鳥の樂を血の中に歌ひ籠《こ》めて、我におもしろく世を渡らするを見ずや。殊に詩人たらんものは、庭の花をも茨の實をも知り、天上の※[#「さんずい+景+頁」、第3水準1−87−32]氣《かうき》にも下界の毒霧にも搏《はう》つ鳥を畜《たくは》へでは協《かな》はずといふ。我。是《かく》の如く詩人を觀んは、卑きに過ぐるには非ずや。友。基督は地獄に下りて極惡の幽鬼をさへ見きと聞く。天の澄めると地の濁れると相觸れてこそ、大事業大制作は成就すべけれ。否、かくてはわれ汝が爲めに説法するにや似
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