スらん。われはさる説法のためにこゝに來しにはあらず。われは市長《ボデスタ》一家の使節なり。おん身の伺候を懈《おこた》ること三日なりしは、ロオザ[#「ロオザ」に傍線]に聞きつ。何といふ亡状《ぶじやう》ぞや。疾《と》く往きて荊《いばら》を負ひて罪を謝せよ。但し懈怠《けたい》の申譯もあらば聽くべし。われ。此二日三日は不快の爲めに門を出ざりき。友。そは拙《つたな》き申譯なり。他人は知らず、我はそを諾《うべな》はざるべし。さきの夜|樂劇《オペラ》に往きしは何人なりけん。しかも劇場は、かの頻りに艷種《つやだね》の主人公たりしアウレリア[#「アウレリア」に傍線]が出づる劇場なりしならずや。されどおん身もかゝる路傍の花の爲めに頭《つむり》を痛めしにはあらじ。兎まれ角まれ、けふの午餉《ひるげ》にはおん身を市長の家に伴ひ行かでは、我責務の果し難きを奈何せん。われ。今は包み隱さで告ぐべし。わが暫く市長を訪はざりしは、世のさかしらの厭はしければなり、市長の娘の美くて、カラブリア[#「カラブリア」に二重傍線]に廣き地所を持てるを、わが彼家に出入する目的物なるやうに言ひ做《な》すものあればなり。友。其噂は珍らしか
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