泣Qエゼ[#「ボルゲエゼ」に傍線]一家の守護神たる小尼公なりき。小尼公の手は痛むこと十四日の間なりき。我胸の痛むことも亦十四日の間なりき。
 ある日われは獨り姫の病牀に侍することを得て、わが久しく言はんと欲するところを言ふことを得たり。われ。フラミニア[#「フラミニア」に傍線]の君よ、願はくは我罪を許し給へ。君は我が爲めに其苦痛を受け給へり。姫。否、その事をば再び口に出し給ふな。又ゆめ餘所に洩し給ふな。そが上に、さのたまふはおん身自ら歎き給ふにてこそあれ。我足のすべりしは事實なり。おん身若し扶《たす》け起し給はずば、わが怪我はいかなりけん。されば我はおん身の恩を荷《にな》へり。父母も然《し》か思ひて、御身のいちはやく救ひ給ひしを感じ給ひぬ。獨り此事のみにはあらず。父母の御身を愛し給ふ心のまことの深さをば、おん身は未だ全く知り給はぬごとし。われ。そは宣給《のたま》ふまでもなし。わが今日あるは皆御家の賜なり。かくて一日ごとに我が受くるところの恩澤は加はりゆくなり。姫。否、さる筋の事をいふにはあらず。わが二親《ふたおや》のおん身を遇し給ふさまをば、此幾日の間に我|熟《よ》く知れり。二親はかく
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