ヘやがて黄金《こがね》の響ぞ。鳥と魚との水底に沈みし時にこそ、この姥《うば》は汝が星の躔《やど》るところを見つれ。鷲よ。いで日に向ひて飛べ。老いたる母は巣にありて、喜の目もてそを見送らんとす。汝が翼をば、誰にも折らせじといふ。我に勸めて歌はせし男|恭《うや/\》しく媼の前に※[#「石+盍」、第4水準2−82−51]頭《ぬかづ》きて、さてはフルヰア[#「フルヰア」に傍線]の君は此わかうどを見給ひしことあるか、又その歌を聞き給ひしことあるかと問ひぬ。媼。そは汝の知らぬ事なり。われは早く幸運の兒の身と光と眼の星とを見き。兒はむかし花の環を作りぬ。後又愈※[#二の字点、1−2−22]美しき花の環を作るならん。その臂《ひぢ》を縛《いまし》むべきことかは。六日が程は巣にあれかし。脊に爪打ち込みしにはあらず。六日立たば、汝この雛を放ち遣りて、日の邊へ飛ばしめよ。斯くつぶやきつゝ、媼は壁の前なる筐《はこ》を探りて、紙と筆とを取り出でつ。あな、やくなし。墨は巖の如くなりぬ。コスモ[#「コスモ」に傍線]よ。人の上のみにはあらず。汝が腕の血を呉れずやといふ。コスモ[#「コスモ」に傍線]と喚《よ》ばれし彼男は
前へ
次へ
全674ページ中296ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
アンデルセン ハンス・クリスチャン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング