のまゝなる外國人と打ち雜《まじ》りて、高き低き棧敷を占めたり。平土間より舞臺へ幅廣き梯《はしご》をわたしたるが、樂人の群の座はその梯の底となりたり。舞臺には畫紙を貼《は》り、環飾《わかざり》紐飾を掛けて、客の來り舞ふに任せたり。樂人は二組ありて、代る代る演奏す。今は酒の神なるバツコス[#「バツコス」に傍線]とその妻なる女神アリアドネ[#「アリアドネ」に傍線]との姿したる人を圍みて、貸車の御者《ヱツツリノ》に扮したる男あまた踊り狂ふ最中なりき。われは梯を踏みてその群に近づき、引かるゝまゝに共に舞ひしが、心樂しく身輕きに、曲二つまで附き合ひて、夜更けたる後|塒《ねぐら》に歸りぬ。
眠りしは短き間にて、翌朝は天氣好かりき。姫は今羅馬を立つにやあらむ。華かにして賑はしく、熱して騷がしかりし謝肉祭は、今我を殘して去りぬ。外に出でゝ風に吹かれなば、心寂しきけふを慰むるに足ることもやと思ひて、獨り街に立ち出でぬ。家々の戸は閉されたり。物賣る店もまだ起き出でざりき。昨日は人の波打ちしコルソオ[#「コルソオ」に二重傍線]の大道には、往き交ふ人|疎《まばら》にして、白衣に藍《あゐ》色の縁取りしを衣《き
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