tたる懲役人の一群、霰《あられ》の如く散りぼひたる石膏の丸《たま》を掃き居たり。塵を積むべき車の轅《ながえ》には、骨立《ほねたゝ》したる老馬の繋がれつゝ、側なる一團の芻秣《まぐさ》を噛めるあり。とある家の戸口には、貸車の御者立ちて、あき箱あき籠あまた車の上に載せ、その上をば毛布もて覆ひ、背後に結び附けたる革行李の凹《くぼ》くなるまで鐵の鎖を引き締め居たり。この車は横街より出でたる、同じ樣に梱《こり》載せる車と共に去りぬ。ナポリ[#「ナポリ」に二重傍線]にや行くらん。フイレンチエ[#「フイレンチエ」に二重傍線]にや行くらん。耶蘇更生祭の來ん日まで、羅馬は五週間の長眠をなさんとするなり。

   精進日、寺樂

 事なくして靜に日を暮せば、その永さの常にもあらで覺えらるゝと共に、謝肉祭の間の珍らしかりし事、その事の中心をなせる姫が上のみ心頭に往來せり。墳墓の如き靜けさは日ごとに甚しくなりぬ。わが胸の空虚は書卷の能く填《うづ》むるところにあらざりき。ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]はわが無二の友なり。然るに今はその音容に接することの厭《いと》はしくなれるぞ怪しき。嗚呼我等二人の間には
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