B
 喝采の聲は屋《いへ》を撼《うごか》せり。幕下りて後も、アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]、アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]と呼ぶ聲止まねば、歌女は面《おもて》を幕の外にあらはして、謝することあまたゝびなりき。
 第二|齣《せつ》の妙は初齣を踰《こ》ゆること一等なりき。これヂド[#「ヂド」に傍線]とエネエアス[#「エネエアス」に傍線]との對歌《ヅエツトオ》なり。ヂド[#「ヂド」に傍線]は無情なる夫のせめては啓行《いでたち》の日を緩《おそ》うせんことを願へり。君が爲めにはわれリユビア[#「リユビア」に二重傍線]の種族を辱《はづかし》めき。君がためにはわれ亞弗利加《アフリカ》の侯伯に負《そむ》きぬ。君がために恥を忘れ、君がために操を破りたるわれは、トロアス[#「トロアス」に二重傍線]に向けて一|隻《せき》の舟をだに出さゞりき。我はアンヒイゼス[#「アンヒイゼス」に傍線](エネエアス[#「エネエアス」に傍線]の父)が靈の地下に安からんことを勉めき。これを聞きて我涙は千行《ちすぢ》に下りぬ。この時萬客聲を呑みてその感の我に同じきを證したり。
 エネエアス[#「エネエアス」に傍
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