nはこらへず。善き際にあらず、とは何をか謂ふ。我に向ひて道徳をや説かんとする。吾友だちは汝にあしさまに言はるべきものにはあらず。吾友だちは羅馬にあらん限の貴き血統にこそあなれ。われ等は法皇の禁軍《このゑ》なり。縱《たと》ひわづかの罪ありとも、そは法皇の免除するところなり。われも學校を出でし初には、汝が言ふ如き感なきにあらざりしが、われは敢て直ちにこれを言はず、敢て友等に知らしめざりき。われは彼輩《かのともがら》のなすところに傚《なら》ひき。そは我意志の最も強き方に從ひたるのみ。我意馬を奔《はし》らしめて、その往くところに任するときは、我はかの友だちに立ち後《おく》るゝ憂なかりしなり。されど此間我胸中には、猶少しの寺院教育の滓《かす》殘り居たれば、我も何となく自ら安《やすん》ぜざる如き思をなすことありき。我はをり/\此滓のために戒《いまし》められき。我は生れながらの清白なる身を涜《けが》すが如くおもひき。かゝる懸念は今や名殘《なごり》なく失せたり。今こそ我は一人前の男にはなりたるなれ。かの教育の滓を身に帶びたる限は、その人小兒のみ、卑怯者のみ。おのれが意志を抑へ、おのれが欲するところを制
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