オて、獨り鬱々として日を送らんは、その卑怯ものゝ舉動ならずや、餘に饒舌《しやべ》りて途のついでをも顧みざりしこそ可笑しけれ。こゝはキヤヰカ[#「キヤヰカ」に傍線]の前なり。類《たぐひ》なき酒家《オステリア》にて、羅馬の藝人どもの集ふところなり。我と共に來よ。切角の邂逅《めぐりあひ》なれば、一瓶の葡萄酒を飮まん。この家のさまの興あるをも見せまほしといふ。われ。そは思ひもよらぬ事なり。若し學校の人々、わが禁軍《このゑ》の士官と倶《とも》に酒店にありしを聞かば奈何。ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]。現《げ》に酒一杯飮まんは限なき不幸なるべし。されど試に入りて見よ。外國の藝人等が故郷の歌をうたふさまいと可笑し。獨逸語あり。法朗西《フランス》語あり。英吉利《イギリス》語あり。またいづくの語とも知られぬあり。これ等を聞かんも興あるべし。われ。否、君には酒一杯飮まんこと常の事なるべけれど、我は然らず。強ひて伴はんことは君が本意にもあらざるべし。斯く辭《いろ》ふほどに、傍なる細道の方に、許多《あまた》の人の笑ふ聲、喝采する聲いと賑はしく聞えたり。われはこれに便を得て、友の臂《ひぢ》を把《と》り
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