「よ/\見えずやならんといふ。われは喜のあまりに聲高く叫びて、さてはベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]なるよ、嬉くも逢ひけるものかなといひぬ。アントニオ[#「アントニオ」に傍線]か、可笑き再會もあるものよと、友は我を抱きたり。さるにても何處よりか來し。忍びて訪ふところやある。そは汝に似合はしからず。されど我に見現されぬれば是非なし。例の獄丁はいづくに居る。學校よりつけたる道づれは。我。否けふはひとりなり。ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]。ひとりとは面白し。汝も天晴《あつぱれ》なる少年なり。我と共に法皇の護衞に入らずや。
我は恩人夫婦のこゝに來ませし喜を告げしに、吾友も亦喜びぬ。これよりは足の行くに任せて、暗路を辿りつゝ、別れての後の事どもを語りあひぬ。
猶太《ユダヤ》の翁
途すがらベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]の云ふやう。我は今こそ浮世の樣をも見ることを得つれ。そなた等が世にあるは、唯だ世にありといふ名のみにて、まだ襁褓《むつき》の中を出でざるにひとし。冷なる學校の榻《たふ》に坐して、黴《かび》の生《は》えたるハツバス・ダアダア[#「ハツバス・ダア
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