sず》したり。式場は忽ち水を打ちたるやうに鎭まりぬ。讀誦《どくじゆ》の力あるに、聽くもの皆感動したるなり。われは初より隻句を遺《のこ》さず諳《そらん》じたり。されど今改めてこれを聽けば、ほと/\ダンテ[#「ダンテ」に傍線]其人の作を聞くが如くおもはれぬ。誦し畢《をは》りし時、場に臨みたる人々は、悉く喝采せり。僧官達は席を離れ給ひぬ。式はこゝに終れるが如く、桂冠はベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]がものと定りぬ。次なる英語の詩をば、人々止むことを得ずして聽き、又止むことを得ずして拍手せしのみ。その畢るや、滿場の話柄はベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]がダンテ[#「ダンテ」に傍線]の詩の上にかへりぬ。
 我頬は火の如くなりき。我胸は擴まりたり。我心は人々のベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]がために焚ける香の烟を吸ひて、ほと/\醉へるが如くなりき。この時われは友の方を打ち見たるに、彼が容貌はいたく常にかはりて見えき。その面色土の如く、目を床に注ぎて立てるさまは、重き罪を犯したる人の如くなりき。ハツバス・ダアダア[#「ハツバス・ダアダア」に傍線]も亦いたく不興げなるおも持して
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