X・イスカリオツト[#「ユダス・イスカリオツト」に傍線]は、魔王が蝙蝠《かはほり》の如き翼を振ふ隙に、早く半身を喉の裡に沒したり。この「ルチフエエル」が姿をば、一たび見つるもの忘るゝことなし。われもダンテ[#「ダンテ」に傍線]が詩にて、彼奴《かやつ》と相識《ちかづき》になりたるが、汝はよべの囈語《うはごと》に、その魔王の状を、詳《つばら》に我に語りぬ。その時われは今の如く、汝はダンテ[#「ダンテ」に傍線]を讀みたるかと問ひぬ。夢中の汝は、今より直《すなほ》にて、我に眞を打ち明け、ハツバス・ダアダア[#「ハツバス・ダアダア」に傍線]が事をさへ語り出でぬ。何故に覺めたる後には我を隔てんとする。我は汝が祕事《ひめごと》を人に告ぐるものにあらず。汝が禁を犯したるは、汝が身に取りて譽となすべき事なり。我は久しく汝が上にかゝることあらんを望みき。されど彼書をば、汝何處にてか獲つる。我も一部を藏したれば、汝若し蚤《はや》く我に求めば、我は汝に借しゝならん。我はハツバス・ダアダア[#「ハツバス・ダアダア」に傍線]がダンテ[#「ダンテ」に傍線]を罵りしを聞きしより、その良き書なるを推し得て、汝に先だちて
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