モミ來りぬ。われは長く机に倚《よ》ることを好まず。神曲の大いなる二卷には、我とほ/\厭《あぐ》みしが、これぞハツバス・ダアダア[#「ハツバス・ダアダア」に傍線]が禁ずるところとおもひ/\、勇を鼓して讀みとほしつ。後にはかのふみ我にさへ面白くなりて、今は早や三たび閲しつ。その地獄のめでたさよ。汝はハツバス・ダアダア[#「ハツバス・ダアダア」に傍線]の墮つべきを何處とか思へる。火のかたなるべきか、冰《こほり》のかたなるべきか。
わが祕事は訐《あば》かれたり。されどベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]はこれを人に語るべくもあらず。ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]とわれとの交は、この時より一際《ひときは》密になりぬ。旁《かたはら》に人なき時は、われ等の物語は必ず神曲の事にうつりぬ。わがこれを讀みて感じたるところをば、必ずベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]に語り聞かせたり。この間にわが文字を知りてよりの初の詩は成りぬ。その題はダンテ[#「ダンテ」に傍線]と其神曲となりき。
わが買ひ得たる神曲の首《はじめ》には、ダンテ[#「ダンテ」に傍線]が傳を刻したりき。そはいたく省略した
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