った白鳥《はくちょう》が[#「白鳥が」は底本では「白鳥か」]いまーす、新《あたら》しいのが来《き》たんでーす。」
口々《くちぐち》にそんな事《こと》を叫《さけ》んで。それからみんなもっとたくさんのパンやお菓子《かし》を貰《もら》って来《き》て、水《みず》に投《な》げ入《い》れました。そして、
「新《あたら》しいのが一等《いっとう》きれいだね、若《わか》くてほんとにいいね。」
と、賞《ほ》めそやすのでした。それで年《とし》の大《おお》きい白鳥達《はくちょうたち》まで、この新《あたら》しい仲間《なかま》の前《まえ》でお辞儀《じぎ》をしました。若《わか》い白鳥《はくちょう》はもうまったく気《き》まりが悪《わる》くなって、翼《つばさ》の下《した》に頭《あたま》を隠《かく》してしまいました。彼《かれ》には一体《いったい》どうしていいのか分《わか》らなかったのです。ただ、こう幸福《こうふく》な気持《きもち》でいっぱいで、けれども、高慢《こうまん》な心《こころ》などは塵《ちり》ほども起《おこ》しませんでした。
 見《み》っともないという理由《りゆう》で馬鹿《ばか》にされた彼《かれ》、それが今《いま》
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