めなく鳴り続いてゐた。そして彼の心は、薄暗く滅入つて行つた。――(ごろ/\ごろ/\、転がる/\。)彼は、途方もなく暗い空想に走つてゐた。
 それにしても、これからまたあの明るい快活な家へ入つて行かなければならないのか、そして俺もスケートを演らなければならないのか!
 ふつと純吉は、そんな風に気が附くと、――この儘蟹のやうに砂の中へ潜つてしまひたかつた。



底本:「牧野信一全集第二巻」筑摩書房
   2002(平成14)年3月24日初版第1刷
底本の親本:「婦人公論 第九巻第十二号」中央公論社
   1924(大正13)年11月1日発行
初出:「婦人公論 第九巻第十二号」中央公論社
   1924(大正13)年11月1日発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:宮元淳一
校正:門田裕志
2010年1月17日作成
2010年5月23日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティア
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