たから、時には花々しいユニフオームを着けた年頃の娘が騎手となつて競技場に現れることも珍らしくはなかつた。八重や百合子も、嘗ては晴れのレースに出場した経験を有つ身であつた。
「リリイか、ラツキーなら――妾も、もうすつかり慣れたから独りでも乗れる。」
 競馬のいきさつに就いては了解し憎かつたらしいローラは、騎手になるといふ意味からではなしに、そんなことを進んで云ひ出し、何時か皆なで轡を並べて昆虫採集に行つた時のやうに今日もこれから、めいめいに馬に乗つて海辺へ行かうではないか――
「山を一ト回《めぐ》りしながら――」
 と誘つた。
 その朗らかな提言で滝本と竹下の亢奮は静まつたが、滝本は、早速「騎手」の練習に取りかゝつて見たかつた。ローラは、ウヰルソン先生にデヂケートする目的で、このあたりの野生植物やら昆虫類の標本を作ることを主な仕事としてゐた。
 娘達が乗馬服に着換へる間に竹下と滝本と八重の父親が、街道に出て、何時ものやうに知り合ひの水車小屋から「ワカクサ」、蜜柑山の倉庫番から「アサカゼ」「ミドリ」、そして酒造家の厩から「ドリヤン」などゝいふ馬を借り出して来た。
 竹下はギターとランチ・バ
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