「それではね――」
 堀口が疾る胸を強いて圧し鎮めるかのやうな落着いた見得を切つて口を開いた。「私達の二頭とそつちの三頭とを合併して、三人の騎手を順々に乗せて、今、三回に分けたレースを行つた上で、騎手の争奪に埒を明けることにしようぢやないか。」
「感情上の仲違ひも、それで、はつきりと結末がつくだらう。」
 と太一郎は何か不平さうに呟いた。
「好からう。」
 武一と滝本が同時に答へた。
「ローラさん――事件が、何となくお伽噺めいてゐる見たいだけれど、不安を感ずる必要はありませんよ。」
 ローラが、ぼんやりと堀口達の顔を見守つてゐるのに武一が気づいて、
「全々遊戯のつもりでゐれば好いんだから――」
 などゝ気を配ると、ローラは上着を脱ぎ棄てながら、
「あたし達の町のロメリア祭の時にも恰度それと似た風習があつて、それは馬ではなくつて、娘達が驢馬に乗つて競走をする――あたしも幾度か、その選手に選ばれて出場した経験があるから、勝てる自信だつてある!」
 と勇み立つてゐた。「それにしても、好くも似た風習が此処にもあると思つて、先程《さつき》から感心してゐたところなのよ。」
「都では聞いたこともない
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