あれを見破つて復讐に来るかも計り知られぬ九郎の為の秘かな備へであつたのであるが。)――それも、たつた一夜、止むを得ぬ用達のために外出した時に、鎮守の森□の道だけをその姿で通つたゞけである。
 或日お妙の父親が私の家に写真師などを引き伴れて訪れ、あの一組の甲冑を人間が着てゐる通りの恰好に組み立て、恭々しく撮影してゐるところを私は垣間見た。



底本:「牧野信一全集第四巻」筑摩書房
   2002(平成14)年6月20日初版第1刷発行
底本の親本:「週刊朝日 第十八巻第十九号」朝日新聞社
   1930(昭和5)年10月26日発行
初出:「週刊朝日 第十八巻第十九号」朝日新聞社
   1930(昭和5)年10月26日発行
※「森□の」の「□」は、底本解題によれば、国会図書館所蔵の初出、親本が、活字の潰れによって判読できなかったための欠字です。
入力:宮元淳一
校正:門田裕志
2010年1月31日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さ
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