歌へる日まで
牧野信一
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)吾家《うち》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|哀歌詩人《エレヂスト》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+毟」、第4水準2−78−12]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)歌へ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
一
蝉――テテツクス――ミユーズの下僕――アポロの使者――白昼の夢想家――地上に於ける諸々の人間の行状をオリムパスのアポロに報告するためにこの世につかはされた観光客――客の名前をテテツクスといふ――蝉。
「その愚かな伝説は――」
さあ歌へ/\、今度はお前の番だ! と攻められるのであつたが、何故か私には歌へぬのだ――だが、私は凝ツとしてゐられないのだ――酒樽の上に立ちあがつて喋舌り出したのである。
「えゝ、もう沢山だわい。演説を聴くために俺達は酒を飲んでゐるんぢやない。」
「仕方が
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