ァ度は逆にポイエシス的生産の可能発展の形態ということができる、即ち特殊的な一種の歴史的生産様式であるのである。作られたものから作るものへとしての歴史的生産の世界は、環境的には何処までも物質的生産的でなければならない。そこにマキァヴェリ的なシュターツ・レーゾンの根拠がある。そしてそれが歴史的生産的世界の成立の条件とならねばならない。
 作られたものから作るものへと自己自身を形成し行く世界は作られたものからとして、物質的生産的でなければならない。社会は経済機構を有たなければならない、物質的生産的様式でなければならない。しかしそれは、世界が機械的だということでもなく、単に合目的的だということでもない。世界が一つの現在として自己形成的だということである。そこには既に矛盾的自己同一として歴史的形成作用が働いていなければならない。世界が矛盾的自己同一的に絶対に触れるということがなければならない。社会成立の根柢に宗教的なるものが働いているのである。故に原始社会はミトス的である。原始社会においては、神話は人間世界を支配する生きた実在であるのである(Malinowski, Myth in Primiti
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